法人紹介

第3章 あせらず伸びゆく力を持つ

3-3 「しつけ」

わが子のあるがままを受け止め、「あなたのすべてがかわいく大好き!」の思いをお子さんに伝え、抱き締めながら2歳3歳と大きくなるに連れ、私たちは少しずつしつけをしていきます。

ある時期からは、大人が子どもの要求を十分満たしてあげようとする気持ちと、子どもが自分でしたい気持ちの両方を並行していく時がやってきます。

「しつけ」というのは、押し付けではなく、こちらの希望を子どもに伝えることです。大人の希望を、あるいは、社会のルールを子どもに伝える・・・それがしつけなのです。

そのためには、大人が自らルールを守る人間、希望や目標を持って生きる人間でなければなりません。人格を作るための乳幼児期の基礎をしくじって、大人になってからさまざまな問題が生じてしまうことも

当然あるでしょう。ある時不十分だったから、再度乳幼児期をやり直したいと思ってもできません。育児の失敗とは、子どもの要求をうっかり見逃したりごまかしして知らんぷりしてしまうことです。そのくせ大人の要求・期待ばかりを押し付け、成果が上がることを狙い、強制的な伝え方をしてしまうのです。

育児について、不安・悩み・いら立ちを感じるお母さんが増えつつある現状も見逃せません。無心に眠る寝顔を見ながら、「あんなにイライラしなければよかった、かわいそうなことをしてしまった」とつぶやいた経験はどなたもお持ちでしょう。

決して急ぎ過ぎず、手を抜かずを心掛けていれば、親も楽しく子どもも楽しく、少しずつルールを身につけていけるはずです。しつけの時期は何歳になったらどのように始めるというのではなく、それまでに子どもがどんなことをどれくらい十分にしてもらったかによっても決まるでしょう。親子の信頼感が希薄では、どんなに伝えようとしても伝わりません。反対に、自分や相手を信じる力(基本的信頼感)がよく育っている子には、多少厳しいしつけでも大丈夫です。

このごろの世の中のニュースなどを見聞きするたびに、幼児期のやり直しをしなければならない大人がたくさんいるような気がします。けれども、これは容易なことではないのです。

大人になってからの要求は、乳幼児期のように「おんぶして」「抱っこして」ではありませんよね。要求(甘え)に応えられる時にたくさんしてあげましょうとはこういうことなのです。

しつけというのは、子どもを尊重しながら伝えていくものだと思います。子どもの心を傷つけるような強制は、絶対にいけません。反逆心、敵意、憎しみなどの感情が内面に積もるだけです。

 

子どもの要求を何でも聞いていると過保護にしてしまうと思ってる大人の方もいらっしゃいますが、子どもは過保護で悪くなりません。もし悪くなるなら、それは過干渉ではないでしょうか。子どもは、誰もが自然の向上心を持っているのです。頑張る自分を確かめ、親や周囲の人たちに褒めてもらい、喜びたいと思っているのです。安心してがんばれる気持ちが育つ環境を作ってあげましょう。