法人紹介

第2章 友達との育ちあい

2-7 雨の日の子どもたち

つい先日まで暖かい日差しの下で薄着で過ごしていたのに、今日はいきなり冬に入ってしまったように冷たい雨が一日中園庭をぬらし、水たまりを作ってしまいました。子どもたちは、雨の日は雨の日なりの室内遊びも上手で、工夫して遊んでいます。

大型積み木を使って仲間同士で楽しんだり、絵本を読んだり、広告誌を丸めたり折ったりして子どもならではの創意工夫を凝らし、次から次へととどまりことはありません。

保育士のひざの上で「絵本を読んで」と甘える子、「手裏剣作って!いっぱいだよ」と紙をひらひら振りながら保育士にお願いしている子などで、ホールや保育室はにぎやかです。私たちは、この遊びの先はどうなるのか、予想しながら見守っています。そして、予想外の展開も期待しています。『子どもは遊びの天才』『子どもは遊びがすべて』とかいわれますが、本当にそう思います。遊びの中で仲間をいたわり、譲り合い、時には泣いている子に心を寄せて慰め、無意識のうちに社会の一員となる基礎を自ら作り上げていくのです。

幼い 子どもたちの行動や言葉や情感などを見ていると、私たち大人もこんな楽しい子ども時代を過ごしてきたのかとあらためて思います。時代によって物の豊かさに差はあっても、豊かな子ども時代は誰にも等しくあったはずです。草の葉や桜の花びらで遊び、木に登り、山に入って沢ガニを見つけたり、甘酸っぱいクマグミをもいで口に運んだり…は、私の子ども時代です。東京大空襲の直前に田舎に疎開し、そのまま田舎暮らしが続きました。都会で子ども時代を過ごされた方は、また違った楽しい思い出を懐かしく思い出されるでしょうね。

自然環境は違っても、親の愛情は子どもにとってかけがえのないものです。親は条件を付けずにあふれる愛をわが子に注ぎ、ありのままを受け入れながら、ありのままの子どもの成長を喜ぶのです。頭が良いとか、悪いとか、駆けっこが早いとか遅いとか、そんなことは条件にしないでわが子をかわいがるのです。

このようにお話しすると、「それは子どもを甘やかすことで、結果的には過保護にしてしまい、子どもをダメにしてしまうのではないですか?」と心配される人がいます。でも、そんなことは絶対にありません。抱っこをせがむ赤ちゃんを抱き癖がつくからとか、甘え癖がつくからと言って拒むお母さんがいますが、どうぞいっぱい甘えさせてあげてください。自分の望むことを望んだ通りに十分受け入れてもらってこそ、自分を信じて自立していけるのです。