法人紹介

第3章 あせらず伸びゆく力を持つ

3-7 子どもに「メッセージ」を伝えましょう

新年度を迎え、はやひと月がたちました。お正月ならではの昔遊びも十分楽しみ、子ども

たちは豆まきの準備です。0歳~6歳までの担任が工夫を凝らし、お面や衣装などを作り、

完成するとかわいいモデルさんが事務室へ披露にやって来ます。その姿のかわいらしさに

癒され、年度末の忙しさも柔らぎます。

水戸市は1月に来年度入園希望の願書を提出することになっていて、2月末には新入園児

が内定します。保育園は、保育をする所、子どもを預かってくれる所と一般には保育=

子育てのようにいわれますが、大事なわが子を他人に託すときにはよく考えてほしいのです。

「保育とは一体何か」が大きな課題です。社会が女性の労働力を必要としている今、母親

も外で働きます。専門職である私たち保育士は、わが子ではない子どもを立派な社会人

として育てるという毅然とした目的を持たなければなりません。

 

集団の中で行われているように思える保育も、一人一人の育ちが大切であり、

子どもも親も保育士も、互いに育ちあうという営みでなければならないと思います。

子どもをありのままに丸ごと受け入れましょうということは何度も書いてきました。

では、、母親や保育士は、自分のメッセージをどのように子どもに伝えれば受け入れてもらえるのでしょうか。自分のメッセージを相手に伝えるということは、

感情や経験を表現することで、相手(子ども)を評価したり、解釈したりするものではありません。自分のメッセージを送ることで、自分自身をより深く理解できるとともに、

子どもも大人の気持ちや置かれている状況を理解して心を開き、率直な態度を取るようになるでしょう。自分のメッセージは子どもを責めることなく、本当の考えや気持ちを表現すればいいのです。

例えば、使ったおもちゃを部屋中に広げて片付けようとしない状況を想像してください。〝大声でしかり、何が何でも片付けさせる”

〝代償(お菓子・デパート)などと引き換えに片付けさせる”〝○○ちゃんはきちんとできるよと比較する”

〝そんなことではいい子になれないよ、と脅す”。これらの言葉では、メッセージは子どもに届きません。

だらだらくどくどと言うのではなく、次の3つの要点を組み立ててはっきり伝えましょう。

①子どものどんな「行動」が問題なのか

②その行動が大人の側にどんな「影響」を及ぼしているのか

③その影響について、大人はどんな「感情」を持っているのか

例えば、「部屋中にいろいろなものが出ていると(行動)お母さんはお掃除が全然できないし(影響)、お客さまがいらしたら

困るわ(感情)」というような言葉を順序で伝えるのです。そうすれば、子どもは大人が自分に助力を求めていることを理解し、自分の責任をも理解できます。

 

一度きりの試みでは効果は期待できないし、「ん?お母さんいつもと違う、どうしたんだろう?」と子どもの心は混乱しています。何度も繰り返して伝えているうちに、

子どもの行動を単にイライラの原因としてとらえるのではなく、子どもの欲求がどこにあるのか見抜く力が付いてきます。子どもにとっても大人にとっても深い満足感を

得られ、一石二鳥になるでしょう。

今夜、ご家庭で出来るゲームを一つ紹介します。

①全員が目を閉じ、静かにします

②2人なら相手の、3人以上なら右隣の人の良いところをできるだけたくさん考えます

③ 時間を制限せず、全員の考えがまとまったら目を開け、一人ずつ心で考えたことを全部言葉にするのです

 

わが家ではこれを「いいとこみっけごっこ」と名付け、二人の子どもが巣立つまで楽しみました。意外なことに長所は短所より多いことに気付き、年齢により面白い

表現があったりします。ゲームやテレビをやめて、少しの時間楽しんでみてはいかがでしょうか。